「マイナ保険証」—マイナンバーカードを健康保険証として利用する新システム—の普及に伴い、いくつかの課題が浮上しています。全国保険医団体連合会(保団連)は9月19日、5〜8月に医療機関で起きたマイナ保険証のトラブルの調査結果「5月以降のマイナトラブル調査(中間報告) 1万医療機関が回答」を発表しました。1万242件の回答のうち、69.7%の医療機関が「トラブルがあった」と報告し、前回調査より約10ポイント増加しています。
主なトラブル例としては、
- 「髙」など特殊な文字が●になる・・・66.9%
- カードリーダーの接続・認証エラー・・・52.4%
- 資格情報が無効・・・48.0%
「カードリーダーの接続・認証エラー」は前回調査から12.4%増加しています。他のトラブルは前回とほぼ同水準ですが、「負担割合の齟齬」「限度額認定の誤り」「他人の情報紐づけ」も引き続き発生しています。政府は「総点検後、新たな誤紐づけや負担割合の相違が起きないようにした」と発表していましたが、なぜこのような問題が続いているのでしょうか。河野デジタル大臣の発言を見ても、不安は拭えません。
高齢者や幼児など、顔認証システムの利用が困難な方々もいます。顔認証が失敗し、暗証番号も思い出せない場合、マイナ保険証での確認ができなくなる可能性があります。これは深刻な問題です。全ての人が安心して利用できるよう、従来の保険証の廃止日を延期し、システムを再検討してはどうでしょうか。そうすれば、より使いやすいシステムになるかもしれません。
このような状況を踏まえると、マイナ保険証システムの導入には慎重な姿勢が必要です。技術的な問題だけでなく、利用者の利便性や医療機関の負担も考慮に入れるべきです。システムの改善と並行して、従来の保険証との併用期間を延長するなど、柔軟な対応策を検討することも一案でしょう。